地震雲ジャッジ / コラム / 地震雲と科学

地震雲と科学

地震雲は本当にある?気象庁・学会の見解と、いまも続く研究

公開 2026.11.08情報の確認 2026.11.08読む時間 約8分地震雲ジャッジ編集部
地震雲は本当にある?気象庁・学会の見解と、いまも続く研究

PRこの記事にはアフィリエイト広告が含まれます。リンク先で商品を購入されると、運営者に紹介料が入ることがあります。

この記事のポイント

  1. 地震雲と呼ばれる形の雲は、6つとも気象学で名前とできる仕組みが説明できる
  2. 雲の形で地震の日時や場所を当てる方法は、いまのところ確かめられていない
  3. 地震の前の電離圏の変化や地震発光は研究が続いているが、雲で予測できる段階ではない
目次
  1. 01地震雲は本当にあるのか、気象庁と学会の答え
  2. 02地震雲について本当に分かっていること
  3. 03地震の前の上空の変化は本当か、いまも続く研究
  4. 04雲で地震を予測したという報告の検証
  5. 05まとめ:地震雲は本当にあるのか、いまの答え

変わった形の雲を見て、地震雲は本当にあるのかと調べた人は多いはずです。

検索すると、「存在しない」と言い切る記事と、「前触れだ」と書く記事が並んでいます。

どちらを信じればいいのか、迷ってしまうでしょう。

記事の内容は、2026年11月時点の気象庁と日本地震学会の説明、学会で発表された研究にもとづいています。

分かっていることと、まだ研究が続いていることを分けて読めば、空を見たときに何を考えればいいかが決まります。

01地震雲は本当にあるのか、気象庁と学会の答え

地震雲は本当にあるのか、という問いに、気象庁と日本地震学会はどう答えているのでしょうか。

地震雲とは、地震の前に現れるといわれる、変わった形や色の雲を指すネットの呼び名です。

2つの機関の答えは、次のとおり。

  • 気象庁は、ないとは言い切れないが、説明はできていないと答えている
  • 日本地震学会は、研究者のあいだでは関係がないと考えられていると答えている

2つの機関とも、確かめられた範囲だけを答えています。

慎重な言い回しの中身を、順に見ていきましょう。

気象庁は、ないとは言い切れないが、説明はできていないと答えている

気象庁は、よくある質問のページで、「地震雲はあるのですか」という問いに答えています。

答えの中心は、雲は大気、地震は大地の現象で、地震が雲に影響する仕組みは科学的に説明できていない、という整理。

一方で気象庁は、地震雲が「ない」と言い切るのは難しい、とも書いています。

仮にあるとしても、どんな雲で地震とどう関係するのかは説明されていない、というのが気象庁の立場。

日本地震学会は、研究者のあいだでは関係がないと考えられていると答えている

日本地震学会も、よくある質問のページで地震雲を取り上げています。

学会によると、地震の研究者のあいだでは、一般に雲と地震の関係はないと考えられているとのこと。

地震雲とされる雲の多くは、飛行機雲や巻雲といった普通の雲で説明できる、とも添えられています。

確かめた範囲だけの答え、と読めます。

02地震雲について本当に分かっていること

空に変わった雲が出たとき、科学ではどこまで分かっているのでしょうか。

ここでいう「分かっていること」は、気象庁・学会・世界気象機関(WMO)の資料で確かめられる内容を指します。

確かめられていることは、3つ。

  • 地震雲と呼ばれる形は、6つとも気象学の名前がある
  • 雲の形で地震の日時や場所を当てる方法は、確かめられていない
  • 揺れを感じる地震は1日5回ほどあり、珍しい雲と重なりやすい

3つを並べると、雲の名前は言い切れても、地震との結びつきはまだ言い切れない、という形が見えてきます。

地震雲と呼ばれる形は、6つとも気象学の名前がある

ネットで地震雲と呼ばれる形は、大きく6つに分けられます。

帯状・放射状・肋骨状・さざ波状・竜巻状・赤い雲の6つ。

帯状の雲は飛行機雲や巻雲で、放射状の雲は放射状雲(radiatus)です。

肋骨状の雲は波状雲、さざ波状の雲は巻積雲(うろこ雲)。

竜巻状の雲は雄大積雲で、赤い雲は朝焼け・夕焼けの光で染まった雲にあたります。

6つの形とも、気象学で名前やできる仕組みが説明できる雲。

筋の雲や縞の雲の名前は、世界気象機関の国際雲図帳にも載っています。

空に大きな波が巻くような形で並んだケルビン・ヘルムホルツ波雲
空に大きな波が巻くような形で並んだケルビン・ヘルムホルツ波雲写真:Astronautilus / CC BY 2.0

写真の雲は、ケルビン・ヘルムホルツ波雲と呼ばれる雲。

風の速さが違う空気の層の境目に、波が巻くような形でできます。

報道によると、気象研究所の雲研究者・荒木健太郎さんも、地震雲と呼ばれる雲は気象学で説明できると話しています。

雲の形で地震の日時や場所を当てる方法は、確かめられていない

雲の名前と地震の予測は、別の問題。

気象庁の説明では、どんな雲が地震とどう関係するのかは、科学的に説明されていません。

「帯状の雲が出たら何日後に揺れる」のような決まりは、いまのところ確かめられていないのです。

地震の情報は、気象庁と自治体の発表で確かめてください。

揺れを感じる地震は1日5回ほどあり、珍しい雲と重なりやすい

気象庁によると、日本では揺れを感じる地震(有感地震)が、1日平均5回ほど起きています。

地震の回数が多いため、変わった形の雲を見た日の前後に、どこかで地震が起きることは珍しくないでしょう。

気象庁も、変わった形の雲と地震が、偶然に結びつけられることがあると説明しています。

雲を見た記憶と地震のニュースが重なると、重なった日は「当たった日」として記憶に残りやすくなります。

仕組みを知っておけば、落ち着いて空を見られるでしょう。

関連記事・地震雲の正体「地震雲」と呼ばれる雲の種類6つと、それぞれの本当の名前

03地震の前の上空の変化は本当か、いまも続く研究

雲の形の話とは別に、地震の前に大気や上空で何かが起きるのか、という研究は続いています。

研究の対象は、上空の電離圏(電気を帯びた粒子が多い層)や、空の光です。

研究が続いている話題は、3つ。

  • 巨大地震の直前に、上空の電子が増えたという報告がある
  • 電離圏の報告には、津波の影響だという反対の見方もある
  • 彩雲や地震発光の仕組みは、仮説の段階にある

3つとも、まだ結論は出ていません。

反対の見方も一緒に見ていきましょう。

巨大地震の直前に、上空の電子が増えたという報告がある

北海道大学の日置幸介さんは、2011年の東北地方太平洋沖地震(M9.0)について、学会で報告しました。

地震の約40分前から、震源域の上空の電離圏で、電子の数が最大で1割近く増えたという内容。

2010年のチリ地震や2004年のスマトラ地震などでも、似た変化が見つかったとしています。

2019年には、日置さんらが、M7.3〜9.2の18の地震を分析した結果を日本地震学会で発表しました。

変化の始まる時刻や強さが、断層の大きさと関係していた、という結果。

ただし、電離圏の変化は、上空の電子の数を調べた研究で、雲を目で見る話とは別のもの。

電離圏の報告には、津波の影響だという反対の見方もある

日置さんの報告には、別の解釈も出ています。

高知工科大学の柿並義宏さんと、東京学芸大学の鴨川仁さんが、2013年の学会で発表した見方です。

地震のあとに津波が上空の電子を減らしたため、比べると地震前に増えたように見えた、という解釈。

議論は、まだ決着していません。

彩雲や地震発光の仕組みは、仮説の段階にある

2025年、2008年の中国・四川地震の直前に見られた虹色の雲(彩雲)について、論文が出ました。

著者は、信州大学名誉教授の榎本祐嗣さんや日置さんら。

震央から450〜550km離れた3か所で見られた彩雲を扱っています。

論文が出した仮説は、断層で生まれた電気的な乱れが電離圏に届き、日光の散らばり方を変えた、というもの。

ただし、論文自身が、できた仕組みはまだ分からないとしています。

地震の前や最中に空が光る「地震発光」も、昔から報告がある現象。

信州大学の研究グループの発表(2021年)によると、榎本さんらは岩石を壊す実験をもとに、仕組みを提案しています。

断層から出るガスが電気を帯びて、電流が生まれるという仕組みです。

彩雲も地震発光も、仕組みの説明は仮説で、空を見て地震を予測できる段階ではありません。

04雲で地震を予測したという報告の検証

「雲を見て地震を当てた」という話は、研究者が後から確かめることもあります。

検証とは、報告された雲や予測が、ほかの理由で説明できないかを、記録や資料で調べることです。

検証から見えてくることは、2つ。

  • イタリアの地震の雲は、山を越える風でできた雲と見られた
  • 雲を見ても地震が起きなかった日は、記憶に残りにくい

検証を通すと、印象に残る話と、記録で確かめられる話の違いが、はっきりしてくるでしょう。

イタリアの地震の雲は、山を越える風でできた雲と見られた

2012年のイタリアの地震では、「雲を見て予測できた」という報告が出ました。

米国地質調査所(USGS)の研究者らは、報告にあった衛星画像の線状の雲を調べています。

結論は、線状の雲は、山を越える湿った風でできた雲と見られる、というもの。

予測できたという主張には疑問がある、と論文はまとめています。

雲の写真だけでは、決め手にならない例。

雲を見ても地震が起きなかった日は、記憶に残りにくい

冒頭で紹介した日本地震学会のページは、過去の地震雲の報告について、次のようにも説明しています。

大地震の前にたまたま変わった雲を見て、地震と結びつけたケースが多いと考えられる、という見方。

雲を見ても地震が起きなかったときは、雲のことを忘れてしまう、とも学会は書いています。

外れた日の記録が残らないと、当たった日だけが数えられ、関係があるように見えてしまうのでしょう。

気になる雲を見たら、日付と方角を書き留めておくと、後で落ち着いて振り返れるでしょう。

雲の話とは別に、大きな地震への備えは、家にある物から確かめられます。

農林水産省の資料では、飲み水と調理用の水は1人1日3リットルが目安。

4人家族の3日分なら36リットルで、2リットルのペットボトル18本にあたります。

05まとめ:地震雲は本当にあるのか、いまの答え

2026年11月時点で言えることは、3つ。

  • 地震雲と呼ばれる形の雲は、6つとも気象学で名前とできる仕組みが説明できる
  • 雲の形で地震の日時や場所を当てる方法は、いまのところ確かめられていない
  • 地震の前の電離圏の変化や地震発光は研究が続いているが、雲で予測できる段階ではない

気象庁は、ないと言い切るのは難しいとしつつ、関係は科学的に説明されていないとしています。

日本地震学会は、研究者のあいだでは一般に関係はないと考えられている、としています。

雲の形で地震を予測する方法は、まだ確かめられていない。

地震雲は本当にあるのかという問いへの、いまの答えです。

地震雲ジャッジでは、気になる雲の写真を入れると、地震雲と呼ばれる6つの形のうち近いものと、雲の名前が分かります。

ふだんの判定では、写真の解析は端末の中で行い、写真はサーバーに送られません。

判定の数字は、ネットで地震雲とされる写真との似ている度合いで、地震が起きる可能性とは関係ありません。

写真で調べる雲の写真を判定する

雲が地震を知らせるかは分からなくても、大きな地震への備えは、今日から確かめられます。

人数で計算する家の備えを確かめる

出典・写真のクレジット

地震雲ジャッジ編集部気象庁・内閣府・農林水産省・学会などの公開資料を開いて確かめ、出典と確認日をつけて書いています。記事の作り方

次に読む